スプリングバレーブルワリー と キリン の関係

スプリングバレーブルワリー

スプリングバレーブルワリー はクラフトビールのブルワリーです。ほかとちょっと、というか決定的に違うのは・・こちらのブルワリー、実はキリンビールの社内ベンチャーによって誕生したプロジェクトなのです。瓶の裏にあるラベルを見てもらうとわかりますが、製造者のところに『麒麟麦酒株式会社』と明記されています。お酒がメインのショッピングサイト『DRINX(←以前に書いた記事へのリンクを貼っておきます)』で購入できますが、こちらもキリングループによって運営されていたりします。すごいな、キリン・・

スプリングバレーブルワリー裏面のラベル

元々の スプリングバレーブルワリー は1870年に

スプリングバレーブルワリー は元々、1870年に開港間もない横浜に創立されたブルワリーです。ノルウェー生まれのアメリカ人『ウイリアム・コープランド』によって設立されたこのブルワリーは、日本で最初に商業的に成功したブルワリーとして知られています。様々な困難を乗り越えて日本のビールの礎を築いたこのブルワリーの想いを引き継ぐ形で、新生スプリングバレーブルワリーはスタートしたのです。

スプリングバレーブルワリー王冠

手書きの紙芝居でビール好き社員が社長に直談判

スプリングバレーブルワリー は、キリンビール社員であるわずか3人のメンバーの、手描きの紙芝居による社長への直談判からスタートしました。このままでは日本のビール文化は衰退してしまうのではないか・・ビールを愛する者として危機感を持った醸造家と若手を含む3人のメンバーは、 ある日、当時のキリンビールの社長に直接「ワクワクするビールの未来をつくりましょう」と訴えました。

この熱いビール愛に「どうせやるなら凄いことをやろう」と社長は応え、このプロジェクトはスタートしたのです。

その結果、現在(2021年2月現在)・・スプリングバレーブルワリー には醸造所併設の店舗が東京・代官山、横浜、京都の3箇所にあります。また、コロナ禍のため活動を制限していますが、ファンを募り、会員限定のイベント、セミナー、ワークショップも積極的に開催していました。

プロジェクトが始動したのが2014年。そして2015年には代官山と横浜に醸造所併設店舗をオープンさせているのです。こんな芸当、よほどの資本力と技術力がなければ出来ませんよね。

ネーミングセンスも一級品、6種の定番ビール

現在、 スプリングバレーブルワリー には6つの定番商品がラインナップされています。オフィシャルページのうたい文句をほぼそのままに紹介すると・・

究極のバランスを目指した新次元のビール『496』
進化と挑戦のピルスナー『COPELAND』
ラテのような香りとふくよかな飲み口の『Afterdark』
やわらかに引き立つ、ゆずと山椒『Daydream』
フルーティーなホップが爽やかに香る『on the cloud』
ラズベリーが奏でる、ハーモニー『JAZZBERRY』

となります。ネーミングセンスが良いですよね。わたくしは名前だけなら『JAZZBERRY』、味わいは『496』が大好きです。

これを読んでいただいてるビール好きの方の中には「なんだ、キリンビールでやっているのか」と、大手アンチの方もいると思います。でも、なんというか、おいしいビールなので、ビール好きとしてはおすすめしたいです。 スプリングバレーブルワリー さんが展開するプロモーションに関しては、クラフトビールブルワリーの皆さんは大いに参考になると思います。なんというか、クラフトビールのおいしさを広げる仲間として、共に歩んで欲しいなと希望します。

一方でズルいなー、という気持ちもあります。技術力ではなく、資本力の部分でです。余計な心配かもしれませんが、バックボーンがキリンビールなので、開発者の皆さまは、ぬるま湯状態になることなく、「売れなかったら会社がツブれる」という当たり前の危機感を持ちながら、おいしいビールの開発を続けて欲しいな、と思っています。

スプリングバレーブルワリーイメージカット